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クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前へ歩く−

「く...、ふふ、あはははははっ!」

 嘔吐が終わった後も、口を押さえて蹲っていたエデン母が、突然肩を揺らして笑いはじめた。

 モニターを通して彼女を見ていた全員が、狂ってしまったのではないかと思ったであろうその様子。

「ははは、はあぁーーぁ...、」

 しばらく人目も憚らず笑い続けていたが、そのうち笑いのトーンが下がり、笑い声が途切れると同時に上半身を起こした。

 今だ両足の効かないエデン母だが、上げた顔には、見ている者の予想に反して、いやにサバサバした表情が浮かんでいた。

「色々用意してきたんですけどねー。 どれもあなたには通用しそうにありませんわ。」

 そう明るい口調で言った後、何かを投げ捨てる。

 捨てられて廊下に散らばるそれは、ビー玉サイズの黒い鉄球や、辛うじて見えるピアノ線。 それに、緑色の毒が塗られた付け爪も含まれていた。

「...でもこれで、本当にこれを使う覚悟は出来ましたわ。」

皆月京次の、本当の力を体感しても、

 常時装備の毒の爪を初め、全ての装備が通用しないと解っても、それでも、揺るぎ無い勝利への自信を持たせる代物。

 1mlのちっぽけな注射器。 

この中の薬こそが、エデン母の、最後の切り札である。 

「私は、毒のエキスパートなんて思われていますが、元々は薬剤師なんですのよ。」

 そう、子供のエデンマルキーニは、白衣を着て薬を作る母親を医者だと思っていたが、エデン母は、昔は有能な薬剤師であった。 今はよく使う数種類の毒も、薬の副産物に過ぎない。

「私のダンナ様は、その昔、超有名なSPだったんですの。 それで、その仕事の役に立つようにと、この薬を作ろうとしたんです。」

「でも、まだ改善の余地のあり過ぎる、試作品の段階で...」



「邪魔されて、もう散々! 」

「ですから、これは試作品です。」

「実験の結果では、効力が続くのはたった五秒! 」

「薬が切れた後の死亡率は70%!

 生き残った者に障害が残る確立は100%!!」

「ですが!薬が効いてる五秒間だけは、天下無敵ですわ!!」

ドン


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