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クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前へ歩く−

 銀色の拳銃の弾丸が切れると共に、貴時は攻撃を中断した。

 左手には青色の拳銃が今でも握られているが、それを使う様子は見せない。

 娘を利用するという攻撃手段に不快感を感じていた高森は、思わず安堵ため息をもらした。 続いて、それと同様の言葉も。

「攻撃を止めましたね、...トドメまでは刺す必要は無いと思ったのでしょうか?」

「馬鹿な、あのガキがそんなタマか。」

「銀色の拳銃の弾丸を全て撃ち尽くしたのに、エデンの父親の急所には命中しなかった。 このまま同じ様に左の拳銃を撃っても、同じ結果になると思ったんだろう。」

 貴時の拳銃には、精度が無いという欠点がある。

 所詮は自作の改造拳銃。

 威力も速度もだが、何より精度が乏しかった。 今回の様に十メートル以上標的が離れてしまうと、ほとんど命中しなくなるのである。

 とはいえ、弾丸はエデンの父親の腕を、まともに撃ち抜いた。

 傷口から、滝のごとく流れる出血量は、今までの様に受けに徹する猶予は無い事を物語っている。

 あの腕は、もう使えない。 だとすると、玉砕覚悟で体当たりを仕掛けるしか手立ては無いと、容易に想像出来た。

「貴時君は、その特攻を待っている訳ですか。 標的の距離が縮まれば、弾丸も命中し易くなるから。」

「気を付けておけよ? あのガキがエデンの父親を仕留め損なったら、次の攻撃対象は俺達だ。」


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