クレイモア SS

少しの間、手をばたつかせた後、糸が切れた様にタケオが転がる。

その後ろに、赤と黒のコントラストの中に、雪之絵 真紀は立っている。

赤は返り血、黒はすでに変色した返り血。

ーーいたあ きょうじい ねえ?いっしょにいこう?

声か?今のは声か?

耳がおかしい。いや、耳だけではない。五感がまともに効かない。全ては恐怖のせいだ。

詩女は、俺の後ろで、声もなくへたりこんでいる。

無理も無い。当然だ。俺でさえ体の震えが止まらない。

恐い、死に直結する恐怖。

雪之絵が動く。

体が震える、体が自由に動かない、このままでは、まずい!

「ええい!!震えるな、皆月 京次!!お前が強くなったのは何のためだ!!!この日!この場所!!この時のためだろーーが!!!」

気合一線、体の自由が戻った。

間一髪、雪之絵真紀が襲い掛かる。

おそらく人生において、最初で最後、最大最悪の勝負が今、始まる。

おしまい、

ままま


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