その後、俺と雪之絵はなぜか、つき合っている事になっている。
と言うのも、君寧等例の三人が置いてかれた腹いせに、ある事ない事(ほとんどある事)ウワサを流し、瞬く間に広がったからだ。
その後、俺を見る目は一変。ヘンタイ野郎の烙印を押されてしまって、今では男女問わず白い目で見やがる。
そして、いっつも俺にへばり付いているコイツ。
「京次、今日どうする?家、来る?イイモノいっぱいあるよ。」
「いかねーよ!」
雪之絵真紀、俺にベッタリで離れようとしない。今も学校の廊下を歩いていると言うのに、このとおりだ。
この女が、ろくでもないインランであると言うウワサも、しっかり立っているのだが、カエルの面にと言うか、馬の耳と言うか、全然気にする様子は無い。
それどころか所構わず俺を誘いやがる。いい迷惑だ。
...一応、妊娠したと言う話は無い、念のため。
「ん?」
腕にしがみつく雪之絵を、引きずる様に歩いていた俺の目の前に、よく知った顔の女が立っていた。
ーーー渡 詩女。
怒っている様な、軽蔑している様な、寂しそうな、辛そうな、俺には形容できない目でこちらを見ていたが、すぐに背を向けて走り去って行った。
俺が嫌われただけか、それとも俺と雪之絵を見ているのが辛かったのか。...己惚れだな、嫌われただけさ。
俺は気を取り直して雪之絵を見直し、場所もわきまえず声を荒げた。
「あのな雪之絵!よく聞けよ!!お前は完璧に”S”だ!!だが俺は”M”じゃねえ!!よく覚えとけ!!!」
学校の廊下で言うこっちゃないが、今さら体裁も何もない。
雪之絵は、ぼーーっと俺の顔を見ていたかと思うと、ニッコリ笑って こう答えた。
おしまい