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クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前へ歩く−

 高森夕矢は、赤い髪の少女を、背中で押すようにして、エデン父の攻撃範囲から離脱した。

 元の場所である玄関まで下がった所で、ガクリと膝を付く。

 エデン父から離れられた安堵感の為に、思わず力が抜けたからなのだが、 正直、貴時の援護と、特に『下がれ』の言葉がなければ危なかった。

 言葉に反応し、言葉に従がったからこそ、高森は無傷で逃れられたのだ。

「な、なんで!?」

「私の事なんて気にしないで攻撃していれば!!」

「いや、これでいいんだ。」

「あのまま攻撃していたら、間違いなく全員殺られていた...」

「生きてましたか、良かった。」

 そう言った高森の言葉は本心。 しかし、何時倒れてもしかたがないダメージを負った皇金の姿を見て、落胆は隠せなかった。

「ああ...」

 そう、何とか口から絞り出した所で、崩れるように腰を落とした。 辛そうに胡座をかいた皇金の後ろには、被り物をへしゃけさせた小人のヒットマンが倒れている。

 死んでいるのは確認するまでもあるまい。

「...万事休すですかね。」

 全員同時に、エデンの父親に顔を向ける。

 相変わらず、こちらに向かってくる様子は無い。 

 何故、攻めて来ないのかは、現時点では不明だが、戦法上は間違っていない。

 元SPである彼は、攻撃力よりも、寧ろ守備力に長けている。 それに戦闘において、隙というものは、攻撃の最中の一瞬にこそ有る。

 空手家である高森にはよく解る。 受けに徹するエデン父に、死角は無い。

 今まで経験した事のない戦力を持った敵が、一番堅実な戦法を持って戦いに望んでいる。

初めは、攻めて来ないエデン父を見て、助かったと安心していたが、これは大きな間違いだったのだ。

「方法は、一つしかないな...」

「!?」


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