「確かに直系は、この三家だけですがね。それぞれには分家、血の繋がった親戚が沢山いる...当たり前ですがね。」
そう、白い死神の言う通り当たり前の事なのだが、まったく表面化した動きが無かったので、雪之絵真紀も意識した事がなかった。
普通誰の家にも親戚というものが存在する。 無論、付き合いの深さの違いはあるだろうが、血縁である事は違いない。
そして、『黒い瞳』の目的は、雪之絵、鳳仙、陸刀の血の完全なる粛清。
その血が流れていてるというだけで『黒い瞳』のターゲットにされる。 どんなに縁遠くても例外では無い。
雪之絵真紀に娘がいると伝わった時、雪之絵の全権を握っているのは、戦いのイロハも知らない雪之絵御緒史。 鳳仙家に至っては、まだ学生の鳳仙圭だった。
当然、親戚連中は気が気では無かった。『こんな連中に、自分達の未来を託して良のだろうか?』と。
「だが、それをあなたが黙らせた。」
「経営に優れた才能のあったあなたは、何時しか『財力』が『権力』に変わり。 呪いに関する対策を鳳仙家に一任させ、親類達に文句を言わせなかった。」
そう言って、テレビ画面に映る変わり果てた雪之絵命に眼をやる。
「...とはいえ、よく親戚等は言う事を聞きましたね。」
「そんなに、難しい事ではなかったよ。 」
「雪之絵、鳳仙、陸刀、この血筋が財閥や名家でいられるのは、私のおかげだ。 私に逆らえば、家が没落するのは解りきっているからな。」
「...生命よりも贅沢な暮らしの方が大切ですか。 人間、一度甘い蜜をすうと、それから逃れられないといいますからね。...でも、自分が実は娘を守ろうとしているなど、誰にも悟られるワケには行かなかった。」
「そう。 そうなれば、流石に彼らとて私の言いなりにはならないだろう。」
「だから、雪之絵真紀を恐れて思い切った行動を取れない臆病者を装ったのですね。」
「......」
「私を雇い側に置き、エデン母を嗾け、雪之絵真紀と戦うフリだけして見せた...」
「雪之絵真紀が子供の頃から距離を置き、不仲だと周りにいる
全員に思わせていたので、疑われる事もなく。」
「...いや、それは違うな。」
「?」
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