クレイモア

屑男 撲滅抹殺委員会!

−前へ歩く−


『あの時、真紀が自分の娘を連れて、私の前に現れた時も。』

それまで私は、鳳仙や陸刀、そして親戚達に、偽の情報を流していた。

”雪之絵真紀の消息未だ掴めず”

ありとあらゆる機関を買収し、真紀の嘘の情報を流して来た。

その努力も、これまで。

当時側に居た、親類どもの回し者である後妻に、真紀の所在を知られてしまった。

これから真紀は、戦いの人生を歩む事になるだろう。だが、この時感じた恐怖はそれが理由では無かった。

真紀の連れていた子供、真紀よりも弥生に似ていた。

まるで、あの眼で責められているようで、私は二人を本気で追い返したのだ

『本当に、最低の臆病者だ。』


「だからこそ待っていた。」

「この時を、ずっと待っていたのだ。」


「黒い瞳になったのが娘の真紀であったなら、間違い無く私の生命で元に戻せるのだが...」

「孫でも、きっと私の生命で元に戻せるだろう。」

5

 真紀は、私が死んでも、その意図に気がつく事は無い。

 私が、本当は娘や孫が可愛かったのだと、理解する時は永遠に来ない。

だが、それでも良い。

5

娘と孫を救ったのが私であれば、あの世で弥生はきっと私を許してくれるだろう。



「もうすぐ、三時になりますね。」

 突然、意味不明の白い死神の言葉に、御緒史は夢から覚めたかのような感覚を感じて、思わず歩みを止めた。

「いえ、私との契約期間が、午前三時で切れるものですからね。」

「ああ、何度も契約を更新したな。 今までありがとう、これで終わりだ。」

「ええ、実は、更新されなかったら、次に契約する相手は決まっているんですよ。」

「鳳仙圭」


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