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屑男 撲滅委員会!

−ブラック・アイズ−

「おお、なんと言う事だ。 可哀相に...」

 紳士は、財布から一枚の紙幣を取り出し、それを女の子が咥えた空缶に入れようと身を屈めた。

「お待ちなさい。」

「?」

「この国の物乞いが、手や足がない理由を、お教えします。」

 これまで黙っていた添乗員の言葉が、外国の紳士の行動を止めた。

 紳士も先ほどから、物乞いの子供達の姿が何故この様なのか気になっていたので、素直に耳を傾ける。

「この子達が生まれた時、この子達の両親が切り落としたのです。」

 紳士は、その言葉を理解するのに、相当の時間が必要だった。

 ”生まれた赤ちゃんの、手や足を、その親が切り落とす。”

「な、何故、そんな馬鹿な事をっ!!」

 言葉の意味する事は理解した。 しかし”そんな馬鹿な事”を親が行う理由が解らない。

 いや、どんな理由があろうと、こんな事が許せるはずがない。 紳士は、自らの正義を信じて、怒りのままに喚き散らした。

 その紳士の怒声を静かに受け止めていた添乗員は、その紳士を見つめながら、それを答えた。

「そうすれば、裕福な国の人達から”可哀相だ。”と言って
沢山の施しを貰えるからです。」

「本当に、この国の子供達を想うなら、施しは逆効果。」

「やめておきなさい。 これ以上、このような子供達を増やさない為に。」

『最近、稼ぎが少ないな...』

『変だな、この近所にサラより哀れに見える子供なんていないんだがな...』

『サラ、お前もしかして、怠けているのか?』

ズル、

ズル、

ズル、

ズル、


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